2012/03/05


明日から予備校の合宿引率で群馬県横川碓氷峠に行く。
最近4年間は毎春ここへ行っているので、この時期にここの温泉につからないとなんとなく気持ち悪い。
なんとなく一年の区切りになっている。
昨年JR東日本のCMで吉永小百合主演でここを紹介していたけど、駅前に釜飯弁当の元祖の「おぎのや」があったり、アプトの道があったりするだけで今の碓氷峠は観光地として目立った所はそれほどない(失礼!)。
でも最近ではむしろそのさびれた町並みが廃墟ファンに人気があるらしい。
僕も声を大にして言うつもりはないけれど、横川の崩壊したガソリンスタンドややり場のなくなった鉄道トンネルには魅かれる。
日常からの逸脱した風景に魅せられる・・・というのとは少し違うのだろうけれど、完成されているものと同じくらい崩壊していたり未完成のものにはひきつけられる。



せかせかと観光地を忙しくまわったりして歴史的建造物を眺める修学旅行的な旅が苦手なので、
地味でさびれた、感情のやりどころのないような風景の中で温泉につかってるくらいのほうが僕にはちょうどいい。
そういう、つげ義春的な傾向がある人には碓氷峠を推したいと思います。



昨年、僕はこの合宿引率中に震災に遭った。
ちょうど生徒9名と講師と一緒に東京に戻る電車の中にいた。
昼につかった温泉のぬくもりと引率の疲れでウトウトと眠りについていた。
そのとき、地震がきた。
電車が止まっても、まだ電車が揺れていた。その妙な感覚の中で目を覚ましたことを覚えている。
電車は止まったがどうせ動き出すだろう、たいしたことないだろうと思っていた。
それで地震のショックでちょっとパニック状態になった生徒がいたので、その人の気持ちを軽くさせるために冗談などを言っていたらどうやら周囲には若干不謹慎な人と思われたらしい。
まぁ物事をたいてい深刻に受け取らないので、そう思われることはよくあるから馴れているが、難しいものである。



しかし、それでも、本庄に向かう線路上で電車を降ろされたときには、これは万が一の場合には帰れないかもしれないと思った。
講師のNさんと話し合い、とりあえずは最悪の事態を想定して動こうと決めたが、とにかく駅で待機するくらいのことしか出来なかった。あとは冷静にいつでも動けるようにしておくしかない。
結局、不幸中の幸いというか、ちょうど参加していた大学生のOBの実家がそこの近所だったので頼んで泊めてもらうことが出来た。おかげさまで、生徒を連れていたけれど、職場の新宿の予備校にいるよりずっと対応が楽だったと思う。
翌朝は本庄から六時間かけて赤羽にたどり着き、一度そこで解散し、僕はそこから電車を乗り継いでとりあえず新宿の職場に向かった。
休みだったので自宅に帰ってもよかったけど、とりあえず報告するなり顔を見せなければいけないと考えた。
でも僕はそのように自分で選択したのにも関わらず、一方で内心では休みなのに出勤するなんてすごく面倒だなぁと思っていた。



とりあえず今回は何事もなく無事に引率が終わるといい。